自分の気付きと振り返り(55)「背中をそっと押す事しか出来ない」

日頃の仕事での気付きや、本やメディアなどの言葉で自分に引っかかった事を自分の言葉を追加して、備忘録的に書き留めます。
今回の言葉は「背中をそっと押す事しか出来ない」というものです。
対人援助職として私たちが出来る事は、実はそんなにありません。クライアントと一緒に悩み考え、信頼関係を基本に「そっと背中を押す事しか出来ない」と思っています。
今でこそこのように言えますが、仕事に就いたばかりの私は、今のように思う事が出来ませんでした。それは自分の仕事が他者の役になっている事を実感したくて、最終的にはクライアントを使い、私の自己実現をするために行動していた時があるからです。自分は仕事が出来て、自分に価値があると周りから評価されたい自分がいたからです。それと同時に、そんなことは間違っているとも感じていて、モヤモヤを抱えたままでした。
この言葉が腑に落ちる前の私は、この言葉が自分の「驕り(得意になってたかぶること。我儘な振る舞い)」を抑える枷だと感じていました。そして、自分を変に抑えるからこそ、変に謙遜をしたり、自己否定に繋がる事もありました。
この様な葛藤を抱えながら仕事をしていると、自分自身がプライドの高さから、クライアントはもちろんの事、自分自身を傷つけているように感じ、一度折れてしまった体験をしました。その経験を経て、「私は何でもは出来ないのだ」と体感しようやく力が抜けました。同時に、そんな厄介な自分もいる事を、仕方が無いと許せるようになってから、初めて私自身が「ソーシャルワーカーはそっと背中を押す事しか出来ないのだな」腑に落ちた感覚になりました。
今では、何でもは出来ない存在だからこそ、「不利益を渡さない」という思いや態度で、よりクライアントに向き合えるようになりました。
様々な人生体験をクライアントと共にし、私自身を少しずつ許し成長していけるソーシャルワーカーという仕事が私は好きです。だからこそ研鑽をしながら、感じのいいソーシャルワーカーになろうと改めて思いました。