「緊急事態宣言の延長」が決まり、「家賃が払えない」危機が目前の方は、「住居確保給付金」を確認してみませんか?(Vol.1)
皆様こんにちは。新型コロナウイルス感染症への対応について政府は「緊急事態宣言の延長」を決め、私達の生活は感染症対応の余波で着実に苦しくなっています。この感染症で波及する生き辛い生活は、今更ながらに長期化していくことを思うと、先行きの見えない怖さをどうしても感じてしまいます。
さて、そのような状況下でも、活用できる社会保障制度の1つとして、先日のブログでは「生活困窮者自立支援事業」について取り上げさせていただきました。今回は、生活困窮者自立支援事業の1つである「住居確保給付金」という仕組みについて調べてみました。私自身、この制度について勉強不足があり、「家賃なら全額補助出るんでしょう?」なんて考えていましたが、厳密には細かな制約が存在します。
しかし、制約があるからと言って使わない手はない制度でありますし、その制度も今回の新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受けて、対象範囲が拡大していることは事実です。
まずは、住居確保給付金に係る「基本的な考え方」について、特に重要な「3点」を確認をしていきたいと思います。
<住居確保給付金で賄われる「家賃」は、生活保護制度に基づく「住宅扶助」の金額が設定されています>
皆さんが想像する「家賃」には、様々な金額の幅があると思われます。とても高価なマンションの家賃を思い浮かべるかもしれませんし、単身者の最低限度のアパートの家賃を思い浮かべる方もいらっしゃると思います。
住居確保給付金で取り上げる「家賃」については、生活保護制度で決められている「住宅扶助」という金額が基準になっています。これについては、生活保護保受給者が保護費で賄われる家賃額が市区町村ごとに厳密に決まっているのです。この家賃の基準額が、住居確保給付金にも当てはめられているのです。
簡単に言えば、その市区町村ごとに「その土地で賃貸住宅を借りるための最低限度の金額」が設定されていて、「その基準額以上の給付は出来ない」ということが決められているのです。
例えば、青森県であればその規定は「一人世帯で30000円」となっており、東京都の1級地であれば「一人世帯で53700円」となっています。(※平成31年4月時点の「世帯人員別の住宅扶助(家賃・間代等)の限度額」を参照)
この金額は比較的「少ない」とか「足りない」と感じる方も多いのではないでしょうか?しかし、この制度の性格上、「家賃補助」ではなく、最低限の「住居確保」のための給付であるという視点で考えると、仕方がないのかなと感じる所はあります。
また、この給付はおおむね3ヶ月を期限としている「期限付き」であることも重要です。
<住宅確保給付金は、現時点のある程度の「収入」や「資産」があると、支給の対象外になります>
制度に関する事務連絡文を読んでみると、下記のような内容の記載があります。
①申請日の属する月における、申請者及び申請者と同一の世帯に属する者の収入の合計額が、基準額に申請者の居住する賃貸住宅の家賃額を合算した額以下であること
②申請日における、申請者及び申請者と同一の世帯に属する者の所有する金融資産の合計額が基準額×6(ただし、100 万円を超えないものとする。)以下であること
これに関して言い換えてみると、
①住宅確保給付金の申請時に申込者とその同居家族の月収が、その土地で生活保護を受ける世帯並みの生活費と今の家賃の金額の合計を下回っていないと、給付金に該当しません。
②住宅確保給付金の申請時に申込者とその同居家族の金融資産(貯金など)が100万円を超えていたら、給付金に該当しません。
という解釈ができます。所得制限というとても厳しい基準が設けているのだと改めて分かりました。逆に考えれば、生活保護の相談をする手前にある、「貯金が100万円以下になってしまい、働く機会が減り今後の仕事でも収入が目減りして、家賃を払えなくなりそうな状況」になったら、この制度でしっかりまた暮らせる準備が出来るという状況が作り出せるように制度を活用できるのだと考えられます。
<住居確保給付金の給付を受けるには、ハローワークで求職活動をし続ける必要があります>
制度に関する事務連絡文を読んでみると、下記のような内容の記載があります。
①申請者は、公共職業安定所への求職申込みを行うこととする。申請者が申請時に求職申込みを行っていない場合、自治体は、公共職業安定所への求職申込みを指示する。
②申請時、常用就職を目指した求職活動等を行うことを確認書によって確認するとともに、支給開始後は、求職活動を確認することとする。
これら①と②の内容から、住居確保給付金を受けるには、「公共職業安定所(ハローワーク)」で手続きを行い、かつ給付開始後にはどのように求職活動をしているかの報告をしていくことが条件になっています。調べてみると細かな制約が多いのが分かりました。
そもそもこの給付は、「生活困窮者自立支援事業」の1つであることから、「就労能力のある方」に対して、「期限付き」で生活保護の住宅扶助相当額の「家賃」を大家等へ代理納付することで、経済的に暮らしが自立できるように支える仕組みを作る事が目的の制度ですので、細かな制約は仕方がない内容なのかもしれません。
さて今回は住居確保給付金にまつわる「基本的な考え方」をまとめてみました。次回は、厚生労働省から出されている最新のQ&A(居住確保給付金 今回の改正に関するQA(Vol4))の内容を取り上げながら、この制度が今回の新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて、どのように利用しやすくなったかまとめていきたいと思います。