新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の今、知っておきたい医療機関の機能と役割、社会制度の捉え方(Part2)
皆様こんにちは。前回に引き続き、ソーシャルワーカーの視点からみる、新型コロナウイルス感染症を含む、感染症に関わる医療機関の機能と役割、社会制度の捉え方について触れていきたいと思います。まずは医療機関の役割について触れてまいります。
<医療機関は「ベッドの有る無し」と「ベッドの役割」で大別されています>
普段私たちが目にする医療機関は「診療所」と「病院」に大別できます。診療所とは、ベッドの全くない無床診療所と、有床診療所(ベッドが19床以下)のことを指します。病院とは20床以上のベッドのある医療機関全般を指します。診療所と病院を区分けする大きな基準はベッドの数ということになります。次はそのベッド(病床)の役割についてです。医療法の中ではベッド(病床)については下記の5種類に分けられています。
[医療法上のベッド(病床)の区分け]
・感染症病床 ・結核病床 ・精神病床 ・療養病床 ・一般病床
また、上記5つの区分けの中から、それぞれの医療機関の規模や特色、その地域で求められる役割、医療設備や人員などを考慮して、更に15種類の役割に細分化しています。
[診療報酬上のベッド(病床)の区分け(15種類)]
・感染症病床 ・結核病床 ・回復期リハビリテーション病床 ・地域包括ケア病床 ・療養病床 ・特殊疾患病床 ・緩和ケア病床(ホスピス) ・障害者施設等一般病床 ・一般病床 ・精神科病床 ・精神科救急治療病床 ・精神科救急入院料病床(スーパー救急) ・精神科療養病床 ・認知症治療病床
さらに、医療法やその他関連する様々な法律により、それぞれの専門分野において中心的な役割を果たすために設置された「拠点病院」がいくつもあります。これらの拠点病院は、高度で総合的な治療を担うことはもちろん、最新治療に関わる情報収集や各医療機関に対しての情報提供、教育、研修を行うことも求められています。下記に拠点病院の種類についてご紹介いたします。
[拠点病院の種類]
・がん診療連携拠点病院 ・エイズ拠点病院 ・治験拠点病院 ・肝疾患診療連携拠点病院 ・難病医療拠点病院 ・認知症疾患医療センター ・子どもの心の診療拠点病院 ・小児救急医療拠点病院 ・災害拠点病院 ・へき地医療拠点病院
<「感染症関連」を対応するために指定を受けている病院があります。病院機能の理解を深めましょう>
さて、新型コロナウイルス感染症が流行する前にも、国は感染症対策の為に医療機関にて対応が出来るように措置を講じてきました。そこで、感染症対応が出来る医療機関として現にある「感染症病床」や「結核病床」について確認してみましょう。まずは「感染症病床」について触れていきましょう。
<「感染症病床」とは>
・感染症法に基づき1類感染症、2類感染症、新型の感染症の患者を対象に専門的な治療が行われる病床です。
・利用の対象は1類感染症、2類感染症、新型の感染症に罹患している方です。
・1類感染症を治療する第一種感染症指定医療機関は、平成31年4月1日現在で55医療機関(103床)あります。(※1)
・2類感染症を治療する第二種感染症指定医療機関は、平成31年4月1日現在で351医療機関(1,758床)あります。(※2)
[1類感染症とは]
エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、痘そう、南米出血熱、ラッサ熱、ペスト、マールブルグ病
[2類感染症とは]
急性灰白髄炎(ポリオ)、結核、ジフテリア、重症急性呼吸器症候群(SARS)、中東呼吸器症候群(MERS)、鳥インフルエンザ(H5N1)および鳥インフルエンザ(H7N9)
・この治療による医療費は「感染症医療費助成制度」が適応され、結核の治療同様の医療費の助成があります。
(※1)指定医療機関数に関する情報は、「厚生労働省 感染症指定医療機関の指定状況(平成31年4月1日現在)」を参照(https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou15/02-02.html)」
(※2)指定医療機関数に関する情報は、「厚生労働省 第二種感染症指定医療機関の指定状況(平成31年4月1日現在)」を参照(https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou15/02-02-01.html)」
次回も引き続き、ソーシャルワーカーの視点からみる、新型コロナウイルス感染症を含む、感染症に関わる医療機関の機能と役割、社会制度の捉え方について触れていきたいと思います。