自分の気付きと振り返り(16)
日頃の仕事での気付きや、本やメディアなどの言葉で自分に引っかかった事を自分の言葉を追加して、備忘録的に書き留めます。
今回の言葉は「本人が独居でも、家族が居ない人はいない」というものです。
本人を理解していく上で重要なアセスメントの1つに、本人がどのような家系で、どのような家族と暮らしていたかを理解する部分あります。これらを理解する為に対人援助職は、「家族システム」という理解の仕方をします。このシステムを理解する上でのキーワードが、下記の3つです。
①サブシステム(夫婦・兄弟・祖父母など)
②境界(世代間・内と外など)
③パワー(決定権・権威・お金・暴力など)
今、目の前にいるクライアントが、なぜそのように生きてきたか、考えに至ったのかを、家族システムを理解しながらアセスメントをしていくと、家族の関わりによって、生き方、考え方、信念など、その人を形作る様々な要素を知る事が出来ます。その要素は、自身にとって好ましい要素もあれば、好ましくない要素もあります。
例えるなら、クライアントが今生き辛さを抱えるとするならば、それは自分自身のせいだけではなく、育った環境や歴史や躾など、家庭内での育ちが要因である事も多いということです。
今まで私は、クライアントを取り巻く登場人物がいれば、当然家族システムとしてそれぞれに可能な限り話を聞いて理解しようとしていました。しかしクライアントに初めて会う場合に、「独居」「身寄りが居ない」という事前情報があると、無意識に家族システムを考えないで、クライアントの存在にのみ着目して、クライアントの家族を想像しようというスイッチが入らない部分がありました。そんな時に聞いた言葉が、「本人が独居でも、家族が居ない人はいない」という言葉です。
言われれば全くその通りです。例え独居や身寄りがなかったとしても、それは結果であり、そこに至るプロセスには当たり前に家族が居た事実があります。それをなかったことにしていた自分の浅はかさに、この言葉で改めて気が付かされました。
家族システムは確かにクライアントを知る、紐解くアセスメントの1つですが、どこまで行っても基礎となる「クライアントに興味を持つ」「自分でクライアントにひっかかりに行く」という「姿勢」や「想像力」が、どこまで行っても大事なのだなと改めて感じました。