自分の気付きと振り返り(45)「クライアントを取り残さない」

日頃の仕事での気付きや、本やメディアなどの言葉で自分に引っかかった事を自分の言葉を追加して、備忘録的に書き留めます。
今回の言葉は「クライアントを取り残さない」というものです。
対人援助の仕事をしていく中で、「担当者会議」に同席する事がよくあります。各支援者と本人家族が参加し、今後の支援の在り方、福祉サービスの方法論や内容について意見交換を行うことが大まかな目的ですが、その中でどうしてもやり取りがし易いキーパーソンの声を拾いやすくなっている場面に遭遇します。
本人の言葉だけでも重いだけでも生活は出来ない事はもちろんありますが、かといってやり取りのしやすい家族の考えや価値観だけを優先してしまっては、「誰のための担当者会議なのか」という本質を見失ってしまいます。
担当者会議は、クライアントになっている当事者の為のものですし、担当者会議におけるケアプランは、クライアントに対して、暮らしの中の希望を叶えるツールであると考えます。本人不在になってはケアプランそのものが形骸化してしまいます。
担当者会議に参加する中で私は、キーパーソンの親族や支援者に話の中心になっている時に本人のもとへ行って、今この場面ではどのような事が話し合われているか、あなた自身の暮らし方について皆さんが意見を出し合っている状況であることを言語化してクライアントと共有します。そしてクライアント自身の思いや考えを発言して欲しい旨も伝えます。一言二言でもクライアント自身から紡がれた言葉は、キーパーソンや支援者に届きます。このようなコミュニケーションの隙間を埋める対応を私は心がけています。
私は対人援助職として、あくまでもクライアントの支援者というポジショニングを大切にしていきたいと思っています。消去法の選択肢になるほどに段取りが優先される部分がありますが、それでも今回の言葉である「クライアントを取り残さない」という言葉を思い出すことで、支援者のポジショニングの再確認が出来ると思います。