自分の気付きと振り返り(5)
日頃の仕事での気付きや、本やメディアなどの言葉で自分に引っかかった事を自分の言葉を追加して、備忘録的に書き留めます。
今回の言葉は「多様性を認めない支援は支配」というものです。
目の前にいる相談者やその家族は、私にとってクライアントであり、支援対象者です。やりとりをしていく中で、私個人の価値観として、クライアントの持論や価値観、話をしている中身についてどうしても「納得できない私」や「納得したくない私」が顔を出すことがあります。昔はその自分を抑えようとして、気持ちの上で両方の手で自分を抑えてしまい、自分の事しか掴めないような場面も多くありました。そのような時は、得てしてクライアントを見ておらず、自分しか見ていない時でもあります。
そんな自分の価値観がクライアントの支援を邪魔する時に起こるのが、自分の価値観に当てはめてクライアントを審判してしまうという状態です。自分でその状態に気付いた時には、既にクライアントとの信頼を失う状況に陥ってしまいます。対人援助職としては、私にもクライアントにも良い事はありません。
これら良い事が起こらない「審判的な個人の私」スイッチが自動的に入ってしまい、そのまま進みそうになる時に一旦立ち止まらせてくれる言葉があります。それが、「多様性を認めない支援は支配」という言葉です。
今の自分の対応が、クライアントにとって「支配」になっていないか?意図的に私にとっての良い方に「操作」していないか?ちゃんと「自己決定」がクライアント自身で出来るようにしているか?など、様々な振り返りが出来る立ち止まるチャンスをくれる言葉になっています。
これは、バイスティックの「非審判的な態度」であるかどうか、という自己覚知です。
実際に仕事をしていく中で、これらの思いを制約のある中で100%出来ているとは、恥ずかしながら正直言えません。それでも、大切な気付きの内容が支配によって全く無くなるのではなく、1%でも増えるようにする努力は、結果的にクライアントの支援の質の向上はもちろん、私自身をも助けていると感じています。