自分の気付きと振り返り(68)「職業人としての私から個人の私にすり替わる」

日頃の仕事での気付きや、本やメディアなどの言葉で自分に引っかかった事を自分の言葉を追加して、備忘録的に書き留めます。
今回の言葉は「職業人としての私から個人の私にすり替わる」というものです。
仕事をしていく中で、私たちは様々な人に出会います。そのやりとりの中において、その人の言葉や態度や価値観を目の当たりにして、「苦手」「嫌い」「怖い」「気持ち悪い」というネガティブな感情を抱く事もあります。しかし、以前の私は、クライアントに対してネガティブな感情を抱く事自体が、嫌だった時期があります。そう思い込んでいた時期の私の思考は、以下の通りです。
【当時の私の歪んだ思考】
①どんな相手でも対応するのがプロである。だから、個人的な気持ちで仕事の中身が左右されてはいけない。
②ネガティブな感情が湧き起こったら、それは無視して、相手に向き合わないといけない。
③そもそも、ネガティブな感情が湧き起こるのは、プロではない証拠である。
④だから私は、相手を嫌だなと思う事があってはならない。
さて、「当時の私の歪んだ思考」を整理していくと、気付いたことがあります。それは、職業人としての私の思いと、個人としての私の思いを行ったり来たりしているという事です。もう少し深堀していきます。
【当時の私の歪んだ思考(職業人の私と個人の私が行き来する)】
①どんな相手でも対応するのがプロである。だから、個人的な気持ちで仕事の中身が左右されてはいけない。(職業人の私)
②ネガティブな感情が湧き起こったら、それは無視して、相手に向き合わないといけない。(個人の私)
③そもそも、ネガティブな感情が湧き起こるのは、プロではない証拠である。(職業人の私)
④だから私は、相手を嫌だなと思う事があってはならない。(個人の私)
この思考は、自分が上手くいっている時は何も感じずに過ぎ去っていくのですが、ひとたび苦手だと感じた人や状況に出会うと、瞬間的にこの「歪んだ思考スイッチ」が入るという状況に陥ります。自分を正当化する為に、個人の湧き起こる苦手や怖さや辛さという感情を、職業意識という理性で押さえつけ、それでもネガティブな感情は顔を出し、変な理論で自分を騙していく負のループです。
職業人としての私と個人の私が、頭の中で一瞬の内に出たり押さえつけたりを繰り返す自動思考は、自分の嫌な所を見ないフリする私を更に強化させてしまう事で増々認知が歪みますし、私自身を過度に消耗させていきます。疲弊した自分ではこの負のループに気が付けず、抜け出すことも出来なくなってしまう状況に陥った事も多々ありました。
これら一連の状況を言葉にしてみると、全くもっておかしな事を言っているのですが、当時の私は自分をこれらの思考で縛り付けていないと、クライアントの目の前に立っていられないような不安定な状況だったのです。この歪んだ思考の大元は「カッコつけたい」自分が居るのに「自分の自信の無さ」があり、それを埋めるために「他者から認められたい」と願う事で「何でも出来る自分にならないといけない」と思い込む状況だったのです。
今なら当時の私に対して「馬鹿だなぁ」と笑いながら背中をポンと叩いてあげられますし、自分の思考の癖を少しずつ許せるようになってきた事で、負のループに気が付き、止められる様になってきました。今回のような自己覚知や振り返りが、過去の自分を救ってくれる事があるのだと改めて気づけました。またもう一歩、自分で自分を使いこなせて行けそうだと振り返りました。