「生き辛さを支える」ソーシャルワーカーの相談室

自分の気付きと振り返り(69)「暮らしとお金の2026年問題」

 
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現在は医療機関で医療ソーシャルワーカーとして10年以上働いていおります。相談援助職の国家資格である「社会福祉士」の資格を持ち、介護保険制度のプロである「介護支援専門員」の資格も生かし、医療と福祉の両面で、生活すること、生きること、暮らすことのお手伝いを行っています。 中々人に言い辛い「お金にまつわること」を始めとすることや「社会保障制度」の活用の仕方や、「介護サービスのこと」「病院の選び方」に関わるアドバイスが可能です。 また「医師・看護師とのコミュニケーションの取り方」で中々自分の言いたいことが伝わらない一方通行な言われ方・やり取りをした経験はありませんか?医療職種の考え方・言葉の中に何が含まれているのか、紐解くお手伝いも得意です。 様々な公的制度や対人コミュニケーションを円滑にするポイントを探し、暮らしのお手伝いになれる「相談員」としてご活用ください。 また、気軽に趣味の投稿も備忘録として増やしていきます。

日頃の仕事での気付きや、本やメディアなどの言葉で自分に引っかかった事を自分の言葉を追加して、備忘録的に書き留めます。

今回の言葉は「暮らしとお金の2026年問題」というものです。

2025年問題が大きく取り上げられ、すでに半年が経過しました。そもそも2025年問題とは、団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者となり、社会保障費の増大が明らかになる中、働き手の減少から全産業的に人手不足となり、税収も減少する事から社会保障制度の持続を考え、全世代的に増税となるこれら一連の諸問題を指します。

さて、このような暮らしの難易度が上がってきている昨今で、更にその難易度が上がる状況が見えてきました。今回はそれらの問題を関連付けて「暮らしとお金の2026年問題」として取り上げてみたいと思います

【① 社会保険料と税負担の増加リスク】

・2026年10月を目途に厚生年金における賃金要件が撤廃され、実質的に年収106万円の壁がなくなります。

・年収106万円以上で社会保険に加入義務が生じる現在の基準が変更され、週20時間以上働く人は年収に関係なく社会保険に加入することが義務付けられる状況となります。

・現在のパート労働者が、これら健康保険料や厚生年金保険料等が徴収されると、実質の手取り額が減少し、現在の暮らしが厳しくなる状況が生まれます。

・その他の税負担としても、子育て支援費や防衛費の増額による増税、厚生年金保険料等の徴収額増加が組み込まれているのが現状です。

【② 住宅ローン返済額の増加リスク】

・現在マイホーム購入者の多くが利用している、住宅ローンの「変動金利」の利率が、インフレ社会の到来により着実に増加しています。

・平均寿命の延長や定年退職の高年齢化等を背景に、住宅取得をする年齢も一般に高年齢化しました。

・住宅ローンの借入時の年齢や金額が上昇すれば、完済時年齢も自ずと上昇します。完済時年齢が75歳を超える状況も多くなっています。

・高齢期にも返済が残り、かつインフレに合わせ金利も見直しがなされるため、結果的に返済期間が増えたり、月々の返済額が増加してくる事が想定されます。

【③ 買い手の付かない不動産相続のリスク増加】

・実家の相続をした結果として、税金を筆頭に様々な維持費がかかってきます。現在は地方の空き家問題も多く、固定資産税やマンション管理費等、相続者の経済的負担が高まっています。

・少子化が進む現在では買い手が付かない不動産はとても多く、また処分をするにも経済的負担が高いため、結果的に相続者が維持コストを払い続けるしかなく、身動きが取れない状況が想定されます。

【④ 災害による資産の毀損リスク増加】

・地震、豪雨、台風、洪水、火山活動等、近年様々な災害が私たちの周りに起こっています。マイホームの購入後にこれら災害に直面すると、経済的なリスクが激増します。

・一般にマイホーム購入という行為は、その人の資産をマイホームという不動産に集中投資していると同じ意味合いになります。

・災害に合うと、家屋の損害を補修する為の費用はもちろんの事、生活再建に多くのお金が必要となります。

・ローンが残っている場合はその費用も同時に支払い続けていく必要があり、最悪の場合はローン返済が災害によって滞り、様々なものを手放さなければいけない状況に陥ります。

【⑤ 老後資金の想定の変化に伴うリスク増加】

・インフレによる物価高で、様々な生活コストが上がっています。年金支給の水準は生活コストに追いついていません。近年では「退職金制度」そのものが無い会社組織も増加しています。

・現在のインフレ社会に直面し、今後も想定を超える支出が予想される現状を考えた時、当初思い描いていた定年退職後の生活と経済事情では対応できない方が多くなると考えられます。

・暮らし方、働き方、お金の使い方など、生き方そのものを収入が限定される年代で見直さなければいけない事は、恐怖に感じてしまいます。

【⑥ 生活・行政インフラの低下と維持コスト増加に伴うリスク増加】

・人口減少による働き手不足と税収の減少は、様々な生活インフラや行政インフラを質的量的に低下させます。

・特に人口減少が著しい地域では、今後消費行動も税収も低下していく事から、既存の公共サービスが縮小か撤退を余儀なくされる部分が発生します。

・スーパーマーケットやコンビニエンスストアを始め、物流サービスの縮小、保健医療福祉系サービスの撤退や廃業が既に出始めています。

・これらを維持していく為には、利用料金の値上げを始めとした維持コストの増加は避けられない状況です。

【⑦ 外国人労働者の増加による賃金抑制のリスク増加】

・働き手の減少から、全職種的に賃上げの流れが生まれています。その中で外国人労働者も増えてきました。

・今後も外国人労働者が増加していく場合は、働き手不足の労働市場が変化し、結果的に賃金上昇の伸びが止まる可能性があります。

 

これら7つのリスクは、現在でも単発で散見されています。しかし、2026年はこれらのリスクが同時に関連づく形で起こる事が予想されます。

様々なリスクが自分に十分起こり得るものとして認識し、今から手掛けて行けるものは何かを考えて、自分の暮らしを守る準備を早めにしていく事で、今後の生き辛さが少しでも和らぐようにしていきたいですね。

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現在は医療機関で医療ソーシャルワーカーとして10年以上働いていおります。相談援助職の国家資格である「社会福祉士」の資格を持ち、介護保険制度のプロである「介護支援専門員」の資格も生かし、医療と福祉の両面で、生活すること、生きること、暮らすことのお手伝いを行っています。 中々人に言い辛い「お金にまつわること」を始めとすることや「社会保障制度」の活用の仕方や、「介護サービスのこと」「病院の選び方」に関わるアドバイスが可能です。 また「医師・看護師とのコミュニケーションの取り方」で中々自分の言いたいことが伝わらない一方通行な言われ方・やり取りをした経験はありませんか?医療職種の考え方・言葉の中に何が含まれているのか、紐解くお手伝いも得意です。 様々な公的制度や対人コミュニケーションを円滑にするポイントを探し、暮らしのお手伝いになれる「相談員」としてご活用ください。 また、気軽に趣味の投稿も備忘録として増やしていきます。

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