自分の気付きと振り返り(94)「制度と実践は北風と太陽」
日頃の仕事での気付きや、本やメディアなどの言葉で自分の心に留まったもの、自分の振り返りの言葉などを取り上げて、備忘録的に書き留めます。
今回の言葉は「制度と実践は北風と太陽」というものです。

この言葉は、施設内で虐待の再発防止に取り組む現場において、管理側と職員との関係性について表した言葉になります。
この言葉の場合の「制度」は、管理側が職員に対して行う強制力とルールを表します。職員が再び虐待をしないようにする外側からの圧力であり縛りです。そこには厳しさが出ています。
また、この言葉の場合の「実践」は、納得と動機付けから生まれる行動です。職員の内発的な変化で、最終的に望ましい結果を得るための温かな行動に移す行為を指します。
往々にして管理側と職員の関係性はギクシャクします。それは制度で職員を縛るため、暖かな実践は生まれ難くなるからです。そして、厳格な制度だけでは職員は反発して、ルールを形式的にしか守らない、または抜け道を探す可能性が出てしまいます。これでは、本来管理側が目指したい職員の内発的な変化として、真の行動変容や目的の達成に繋がりません。
これら負のメカニズムが生まれてしまう現状を簡単に言い表した言葉が、イソップ童話にある「北風と太陽」です。この物語は、旅人の上着を脱がせるという目的を達成する為に二人がそれぞれのアプローチで競争します。北風は風を強く吹けば吹くほど、旅人は上着を手放しません。逆に太陽は暖かく照らす程、旅人は自ら上着を脱ぎ始めるという内容通り、優しさや穏やかなアプローチによって人の内発的な変化を意図的に引き出す事が出きた代表例です。
この例のように、太陽が温かく旅人を照らすアプローチと同様の行動変容を考える為の鍵となるのが、職場における「心理的安全性」です。
管理側が厳格な制度(北風)を作るほど、互いが互いを監視し続けるような職場環境となり、職員の心理的安全性は減退し、負のメカニズムは生まれます。やはり、職場環境の心理的安全性が高い所でなければ、何事も言い出せないし、行動にも移せないのです。
心理的安全性を高める一番の要素は職員間の「コミュニケーション」です。職員同士が雑談を含め話が出来る風土つくりが、監視ではなく信頼を醸成させていきます。結果的にコミュニケーションが太陽の役割を果たし、職員の内発的な変化となり、施設内虐待を結果的に防ぐ事に繋がるという状況を作ります。
管理側は、北風を作る事が得意です。しかし、北風だけでは、職員は行動変容をしません。太陽を担う人材が組織には必要です。組織内で、どれだけ人と人を繋ぐコミュニケーションが出来る人材を育成できるかが、最終的に心理的安全性を高める風土つくりに寄与できるのです。
制度と実践を成り立たせるのは、最終的には「感じの良い人」で居られる人材なのだと改めて考えさせられました。