自分の気付きと振り返り(102)「数字の中身を意識する」
日頃の仕事での気付きや、本やメディアなどの言葉で自分の心に留まったもの、自分の振り返りの言葉などを取り上げて、備忘録的に書き留めます。
今回の言葉は「数字の中身を意識する」というものです。

仕事をしていく中で求められる「数字」について、皆様はどう付き合っていますか?
対人援助職の仕事をしていると、仕事ぶりを全て数字に表すことは出来ないものです。一方で医療や介護の現場では、しばしば組織を維持していく為に「満たさなければいけない数字」があります。医療機関の場合を例に挙げると「平均在院日数」(患者さんが平均何日で退院したか)や、「看護必要度」(重症な患者さんがどの程度の割合で入院されているか)などが代表的です。
病院に所属しているソーシャルワーカー(MSW)としては、「入退院支援」にかかわる部署に所属する事になりますので、組織の収益的な意味で「入院患者数」・「外来患者数」・「退院者数」は常に意識するように求められてしまいます。
これらの「数字」は、入職したばかりの頃の私はアレルギーが出るほど嫌いな表現でした。数値目標を言われて、ケースの内情を無視しているようにしか受け取らなかった私には、「一人一人の命や生活が懸かっているのに、数字で達成目標を管理するなんて、人を何だと思っているんだ」と憤たことを覚えています。
入職から15年以上の時を経て、私は今、後輩に数字の達成目標を伝える側になりました。後輩は昔の私と同じように、組織が出す数値目標を遂行する事だけが正しい仕事とは思わない人でした。私はそれでいいとさえ思っていますが、後輩が組織に対して折り合いや納得を得られる様に説明するのも今の私の仕事です。
そんな後輩に、私は「数字の中身を意識する」という事を伝えています。
管理側は、評価しやすい「ものさし(定規)」として「数字」を出します。それは、国が求めているものさし(定規)が数字であり、それを守らなければ、収益構造に乗ることが出来ないからです。具体例でいえば、「当月中に後10人の入院を受け入れ、5人は退院させ、その内3名は在宅支援者との会議を行ってから退院する」みたいなものです。
上記内容は、私も上長から非常に多く耳にします。この数字を追いかけ過ぎると、結果的には「支援」という名で「処理」をすることになります。私達ソーシャルワーカーは、支援をするために存在しているのですから、組織が求める数字を追いかけた結果、処理に繋がる対応となってしまう関わり方については、拒否反応が出るのはおかしくありません。
だからこそ「組織に対しての数字の見せ方」を考えて、私達ソーシャルワーカーが、支援の手をかけていく必要性がある方にちゃんと時間が掛けられる取り組みをするために、「アセスメント」と「優先順位」の根拠を持って組織にプレゼンテーションをしていくようにしています。この働きかけには、「エピソードで人を巻き込む」ようにしています。
ソーシャルワーカー的に優先順位が低くなるケースは、比較的組織が求める数を上げやすい方も一定数いる為、そこへの介入もしながら求められる数値を組織に見せつつ、自分達の仕事の質とモチベーションを落とさずにいくクライアントへの関わり方を常に模索しながら進めて行くようにしています。
組織が求める数字(ものさし)がある事は否定せず、その数字の中身(一人一人のケース)を意識し続ける心持ちが、最終的に「上手に組織を使いこなす」という事に繋がるのではないかなと振り返りました。