自分の気付きと振り返り(109)「職人は技を守り繋げ、福祉は人を守り繋ぐ」
日頃の仕事での気付きや、本やメディアなどの言葉で自分の心に留まったもの、自分の振り返りの言葉などを取り上げて、備忘録的に書き留めます。
今回の言葉は「職人は技を守り繋げ、福祉は人を守り繋ぐ」というものです。

とある陶芸家さんとお話をする機会がありました。代々継承した技を絶やさず守りながら、時代に合わせたものづくりを行い、それらの文化や魅力広げるために、制作体験も提供している事で、「人と文化の接点」を作っていました。その姿はまさしく現代の職人の在り方なのかなと実感しました。
生活道具である「食器」は、安いものから高いものまで、素材も様々です。使い手としては、様々なシーンで使い分けができる「選択の幅がある」ということは有難いことです。陶芸家さん曰く「私も100円均一の器も使いますよ」と話されていましたが、同時に「昔は陶器と言えば高尚な趣味の領域でしたが、日常にちょっとだけ大切にしたいものを織り交ぜて使っていく方が増えたような気がします」と話されていました。
このように、陶器の持つ存在感や温かみが人々に改めて受け入れられている一方で、新しいものづくりを行い作品をSNSなどで公開してみると、その形や模様などが既に商標登録や権利申請をされている物に酷似しているので、取り下げて欲しい旨の連絡が大手企業から来ることもあるのだといいます。これらは「仕方が無い事なんですけどね」と話されていましたが、個人で作品を制作し販売までを一貫して一人で対応している現状では、全てに権利申請は出来ない事から、弱い立場が続いてしまっているのだと感じました。
このやり取りから私は、職人に対価がちゃんと支払われる環境でなければ職人技は潰えるのだなと、改めて感じました。そして、これらの現象は、対人援助職の現場にも言える事だなと思っています。
対人援助職の仕事ぶりや技術の評価は、基本的にクライエントの生き辛さの解消が出来たかどうかです。これが報酬面における評価は、社会保険制度の枠組みの中で決められていますので、対人援助職の仕事ぶりという「技や質」は具体的な評価が出来ず一律の保険給付のみです。職人のものづくりの技も、対人援助職の支援の技も、「質」を考えた上で経済的に評価され辛い現状が辛いですよね。
そんな陶芸家さんと対人援助職の私の共通点は、「職人技が好き」であり「職人」であろうと日々努力をしているという所だと勝手に感じました。同時に職人は「職人という生き方」をしている人でもあるので、自分の技をむやみに落としていく事は自分を貶める生き方になってしまうのも似ています。なんだか私の生き辛さが出てしまっていますが、そこは自分の生き方の折り合いを付けていくしかないですね。
さて、今回職人さんと職人の技に触れて、私自身もそうでありたいと改めて感じた所で、もう一つ共通点を見つけました。それは、どちらも「大切なものを守る生き方」であり、「大切なものを繋ぐ生き方」なのです。そこで本日の言葉である「職人は技を守り繋げ、福祉は人を守り繋ぐ」にたどり着きました。かけ離れているような仕事である「陶芸家」と「対人援助職」という二つの職業に、守り繋ぐという共通点を見つけることが出来て、職人に憧れがある私は単純に嬉しかったです。これからも職人技を提供出来る私でありたいと振り返りました。