思っていたよりも相談しやすくなっています。「緊急小口資金」と「総合支援資金」の貸付制度について深堀してみます。
皆様こんにちは。前回の記事では、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い「緊急小口資金」と「総合支援資金」について対応範囲を拡大している状況をご紹介させていただきました。今回はその対応に関してもう少し深堀してご報告してみたいと思います。
<緊急小口資金・総合支援資金の貸付を幅広く展開するために、国は様々な運用面の緩和をしています>
以前のブログで取り上げました貸付制度の上限額や据置期間・償還期間の拡大と緩和ですが、そもそも相談者が「貸付に該当する方」であるかどうかの確認に、従来時間がかかっていました。
今回その確認に対して政府は、令和2年4月23日付の事務連絡である「生活福祉資金貸付制度における緊急小口資金等の特例貸付の運用に関する問答集(Vol.9)について」を出しています。「Vol.1」から既に9回もの変更を重ね、貸付の規制緩和がされています。そこに書かれている内容について少し触れさせていただき、これらをご覧いただいた皆様に「自分が思っていたよりも相談しやすくなっている」と感じて頂ければ幸いです。
<問答集より抜粋した内容をまとめてみました。思ったより相談しやすい取り扱いになっています>
・収入減少が新型コロナウイルス感染症の影響であるかどうかを確認する書類は、給料明細での比較の他、記載項目が簡便な「申立書」(各市町村社会福祉協議会のホームページでもダウンロード可能です)で対応することが可能になっている。
・この貸付制度の利用に際して、失業状態の有無や収入減少の程度は問わない。また収入減少に陥った期間(何ヶ月程度減少したか)についても、「連続何ヶ月減少している」という規定はなく、相談者の切迫した状況を勘案してケース事の対応をしている。
・従来貸付を受ける場合には、返済も含めて自立相談支援を受けることを要件にしていたが、今回の特例措置では、基本的に自立相談支援などの支援を不要として貸付に向けた手続きを進める。
・世帯員の就業形態や職種、国籍を問わず貸付の対象にしている。
・過去に他の貸付制度を利用し、貸付の債務を償還中であることや、自己破産して免責が確定したことがある、または税の滞納や公共料金の滞納があったとしても、一律に申請受付をしないということではない。
・貸付について特に急を要する場合は、申込日の翌々営業日までに送金が行われるように事務処理等を行うことができる。
・総合支援資金の貸付に当たって、失業給付や年金などの公的給付を受けている方がいる世帯についても、用途や緊急性を踏まえて貸付を行う事が可能である。(ただし生活保護受給世帯は対象外)
・特例措置における「緊急小口資金」と「総合支援資金」について、重複した貸し付けを可能としている。緊急小口資金の償還の有無を問わず、総合支援資金の貸付が受けられる。
・これら貸付における申請については、市町村社会福祉協議会の窓口での相談はもちろんだが、申込書等の郵送による送付が可能である。
・緊急小口資金の特例貸付において、償還能力(返済能力)が乏しい者に対する貸付についても、償還能力を厳密に審査するのではなく、柔軟に貸付を行えるようにする。
・総合支援資金の特例貸付において、償還能力(返済能力)が乏しい者に対する貸付についても、原則3ヵ月の貸付については柔軟に貸付を行えるようにする。
また、今回の特例措置では、償還時において、なお所得の減少が続く住民税非課税世帯の償還(返済)を免除することができるとされていますが、詳細は現段階では不明です。具体的な要件については、国において詳細が決定され次第、都道府県社会福祉協議会のホームページ等で順次知らせることとなっています。
これら貸付制度による「暮らすためのお金」を借りる方法の一つに、お住いの地域の「社会福祉協議会」への相談を選択肢に加えて頂ければと思います。無利子・保証人無しであることはもちろんですが、社会福祉協議会に所属する「ソーシャルワーカー」がきっと相談者の「助けて」に真摯に耳を傾けて、一緒に最善の方法を考えて制度に繋いで頂けると思います。