自分の気付きと振り返り(64)「暮らしの難易度が上がっている」

日頃の仕事での気付きや、本やメディアなどの言葉で自分に引っかかった事を自分の言葉を追加して、備忘録的に書き留めます。
今回の言葉は「暮らしの難易度が上がっている」というものです。
私達の現在の暮らしは、昨今の物価高騰や社会保障費の増額も重なり、手取り収入の増加があったとしてもインフレに追いついていません。そのため、全体的な暮らしの感覚として「生活が苦しい」と感じている人が多いのではないでしょうか。前と変わらない暮らしなのに以前よりもお金が出ていく状況において、買い物一つとっても今買うべきかどうかを、取捨選択をしながら進めている人が多いと思います。
このような生活の変化は、社会保障制度の枠組みで働く私たちにとっても大きく影響してきます。なぜなら、様々なインフレの状況において社会保障制度の維持をする上で、人・モノ・カネが足りなくなっている事は明らかだからです。2025年問題を迎えた今年、控えている2030年問題を想定すると、社会保障制度自体を存続させていく上で色々な所から財源を捻出しなければ立ち行かなくなります。
今までよりも制度運用は難しくなる中で、今まで使えていた社会保障サービスは、利用の難易度が高まります。また、使えていたサービスが改悪されていく事も想定されます。全体的にサービス利用の負担割合と利用料も高くなります。サービス提供事業所も事業の経営悪化による倒産や統廃合を繰り返し、淘汰されていく事は想像に難くありません。
日本人の貯蓄について取り上げてみると、金融広報中央委員会の世論調査の資料では、貯蓄が0円という世帯が全体の3割に上るという状況です。数千万円の資産を持っている方も居れば貯蓄0円の世帯がいる中で、今後日本人の「格差」は広がり、「弱者と強者の二極化」が際立っていきます。
今の世の中は、一度躓くと中々立て直すことが出来ない状況と言われています。個人と社会自体に余裕や余力や余白が無いのだと思います。だからこそ、個人も社会自体にも寛容さは失われつつあります。暮らしの難易度が年々上がっている現在、社会保障制度もまた、理解して上手に使いこなす事も非常に難易度が高いものになっています。
社会保障制度は、生きる事を守るセーフティーネットです。人間誰しも社会的に弱い立場になってしまう時が来ます。そのような時も、「生きていて良いんだ」と感じさせてくれるのが、日本の社会保障制度であって欲しいと思っています。社会保障制度の枠組みの中で働いている私達は、自分の暮らしを守りながら、クライアントの暮らしを守る事をしています。このことを私達はちゃんとソーシャルアクションとして考え、行動し、声をあげて行かなければいけないのかもしれません。