「生き辛さを支える」ソーシャルワーカーの相談室

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今からでも「介護保険制度」に強くなろう。まずは制度の成り立ちについて理解を深めてみませんか?

 
この記事を書いている人 - WRITER -
ゆき
現在は医療機関で医療ソーシャルワーカーとして10年以上働いていおります。相談援助職の国家資格である「社会福祉士」の資格を持ち、介護保険制度のプロである「介護支援専門員」の資格も生かし、医療と福祉の両面で、生活すること、生きること、暮らすことのお手伝いを行っています。 中々人に言い辛い「お金にまつわること」を始めとすることや「社会保障制度」の活用の仕方や、「介護サービスのこと」「病院の選び方」に関わるアドバイスが可能です。 また「医師・看護師とのコミュニケーションの取り方」で中々自分の言いたいことが伝わらない一方通行な言われ方・やり取りをした経験はありませんか?医療職種の考え方・言葉の中に何が含まれているのか、紐解くお手伝いも得意です。 様々な公的制度や対人コミュニケーションを円滑にするポイントを探し、暮らしのお手伝いになれる「相談員」としてご活用ください。

皆様こんにちは。さて、今回は「介護保険制度」に関して取り上げていきたいと思います。会社勤めの方ですと、40歳から「介護保険料」が天引きされていますよね。決して高くはないこの介護保険料を、ただ支払い続けていくのはもったいないです。せっかく支払うのですから、自分たちの利益になる捉え方が出来れば幸いだと思います。

さて、今回取り上げるのは「介護保険制度の成り立ち」についてです。皆様は既に介護保険制度に関しては様々な情報を仕入れている方も多いと思います。しかし、なぜ「介護」というものが「社会サービス」の1つになったのかを知っておくと、私たちがいざ利用しようと考えた時に理解がしやすくなると思います。それでは進めてまいりましょう。

<「介護の提供」の始まりは、国の「措置」だった>

まず、介護保険制度はなぜ生まれたか?という制度の成り立ちから触れていきたいと思います。介護保険制度の前身は、「老人福祉」と「老人医療」の政策から成り立っています。1960年代にはすでに日本の人口構造的に、若い世代が高齢世代を支えるということが家族の問題ではなく社会問題として捉えていく視点になりました。その結果老人福祉の分野では介護施設やデイサービス等が公的な立場でつくられ、高齢者介護制度を利用する場合は市区町村がサービスの種類や提供機関を決める「措置制度」の時代が続きました。今では考えにくいですが、利用者がサービスの選択をすることが出来ない時代だったということです。さらにこの措置制度では、市区町村が直接的、もしくは委託により提供するサービスが基本であるため、競争原理が働かずに、サービス内容が画一的となりがちで、費用的にも収入に応じた利用者負担(応能負担)となるため、中高所得層にとって重い負担になりました。

<医療が「老人を引き受ける」時代があったが、医療費の増大が国の財政を圧迫した>

一方で老人医療の分野では、1970年代に「老人医療費の無料化」という政策が導入されました。高齢人口が健康でい続けられるための医療政策でもありましたが、この政策の結果、整備不足の福祉サービスよりも中高所得者層にとって利用者負担が低い医療サービスに高齢者(患者)が流れた結果、介護を理由とする一般病院への長期入院(社会的入院)の問題が発生し、結果的に国の財政を圧迫してしまう状況になりました。今までの老人福祉・老人医療制度に限界があったために新たに創設されたのが「介護保険制度」になります。「介護保険制度」は、医療費を抑えるための方法の1つでした。

<介護は「サービス」である。措置から契約への転換>

2000年に施行された介護保険法の中では、介護保険制度の基本的な考え方として「自立支援」「利用者本位」「社会保険方式」を大きな柱としています。そして「措置制度」から「契約制度」への転換が大きなポイントでした。一方的な介護サービスを行政主導で画一的に与えていた考え方から、利用する人の自立を促す考え方を理念として、利用する人が自身で選択してサービスを受ける「契約」を基本とし、財源としては給付と負担の関係が明確な社会保険方式を採用することで、社会全体で人々を支える新たな社会保障制度の仕組みの始まりでした。

<現在は「介護保険制度」も国の財政を非常に圧迫している>

この制度は3年に1回見直しがなされ、社会構造の変化とニーズの多様化、利用人口の増加と財政状況の変化により改正が繰り返されています。平成30年度は、医療保険制度、介護保険制度、障害者福祉制度の全てが改定される非常に大きな改定年度でした。この改正では、「地域包括ケアシステム」を急速に進めていきたい国の方針があります。これは病気になっても、障害があっても、高齢になっても、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援が包括的に確保される体制(地域包括ケアシステム)の構築を実現することを目的にしています。それと同時に、政府は、医療費・介護費などの社会保障費が膨らみ続ける事を嫌い、様々な方法で「給付の抑制」をしていく制度改正を行っています。これでは、お金をかけずに「地域社会の皆で支え合うこと」が地域包括ケアシステムなのか?と言いたくなってしまいます。

<私たちは「上手に制度を頼る」権利があります>

保険料を支払う私たちは、保険料を納めている訳ですから、制度を利用する権利があります。その制度が徐々に使いづらく、国民の痛みが伴う形になっているのが現状です。だからこそ、私たちは、制度を自分たちが困っている状況に合わせて上手く活用していく知識を手に入れる必要があると思います。そして「上手に制度を頼る」ことが出来ると知ることが、生き辛さを支える一つになれるのではないでしょうか。

今後も、皆様に「上手に制度を頼る」ヒントがお伝えできるように書かせていただきたいと思います。

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ゆき
現在は医療機関で医療ソーシャルワーカーとして10年以上働いていおります。相談援助職の国家資格である「社会福祉士」の資格を持ち、介護保険制度のプロである「介護支援専門員」の資格も生かし、医療と福祉の両面で、生活すること、生きること、暮らすことのお手伝いを行っています。 中々人に言い辛い「お金にまつわること」を始めとすることや「社会保障制度」の活用の仕方や、「介護サービスのこと」「病院の選び方」に関わるアドバイスが可能です。 また「医師・看護師とのコミュニケーションの取り方」で中々自分の言いたいことが伝わらない一方通行な言われ方・やり取りをした経験はありませんか?医療職種の考え方・言葉の中に何が含まれているのか、紐解くお手伝いも得意です。 様々な公的制度や対人コミュニケーションを円滑にするポイントを探し、暮らしのお手伝いになれる「相談員」としてご活用ください。

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