自分の気付きと振り返り(53)「主語を私にして伝える」

日頃の仕事での気付きや、本やメディアなどの言葉で自分に引っかかった事を自分の言葉を追加して、備忘録的に書き留めます。
今回の言葉は「主語を私にして伝える」というものです。
この言葉は、私が対人援助職としてクライアントに向き合う時に意識している心構えであり、新入職のソーシャルワーカーにも必ず伝えている内容になります。
私達はクライアントとお会いして面接をしていく中で、時折言葉に詰まる時があります。私の場合どのような時に言葉に詰まるかというと、かっこつけて「言い回しを考えている時」だったり、「これを言ったら傷つけるのではないか」と頭で考えたり、クライアントの言葉や思い自体が「私を拒絶している」と感じた時が多いです。
これらはいずれも、「ソーシャルワーカーとしての私の顔」の他に、「個人の私の顔」が出てきてしまい、余計な事を考えすぎてしまう事で、ポジショニングが揺らいだことが要因だと感じています。簡単に言えば、かっこつけようと粋がったり、自分を拒絶されてショックを受けたりすると、素の私が顔を出してしまい、それを自分で抑え込もうと頭を使い過ぎる事で、クライアントに向き合いきれていないという現象が起きてしまうという事です。
この様な変な状況に陥ると、面接も上手くいきません。不全感が残る私は、そのこと自体を引きずってしまう悪循環に陥ります。そんな中で先輩から教えてもらった言葉が、今回の「主語を私にして伝える」という言葉でした。
この言葉は、クライアントを意図的に傷つけようとしない限り、ソーシャルワーカーの私が感じた思いを私の責任で言葉にする事こそ、クライアントに向き合い続けている証明になると教えてもらったのです。
始めの内は、自分の感じた内容をそのまま言葉にする事に自身を持つ事は出来ませんでした。しかし、クライアント自身を思い、逃げずに向き合う姿勢を相手に知ってもらう方法の1つだと腑に落ちた時、「私はこう思う」という表現をしていく事に抵抗感はなくなっていきました。心理学で言うと「Imessage」(アイメッセージ)という手法でした。
今は自分の事を少しずつでも俯瞰して見える部分が育ってきましたので、余計なことを考え始めたら気が付くようになってきました。しかし、ポジショニングが揺らぐ事をゼロにすることは出来ません。違和感を知った自分を見つけた時ほど、一度落ち着いて、主語を私にしてクライアントに向き合いたいと思います。