自分の気付きと振り返り(56)「心地よい風のように関わる」

日頃の仕事での気付きや、本やメディアなどの言葉で自分に引っかかった事を自分の言葉を追加して、備忘録的に書き留めます。
今回の言葉は「心地よい風のように関わる」というものです。この言葉もソーシャルワーカーの先輩から教えてもらった言葉で、私が今もソーシャルワーカーの後輩に伝えている言葉です。この言葉を少し解説していきます。
私達ソーシャルワーカーは、基本的には「裏方」の仕事だと思っています。これは、クライアントよりも前に出て動くのではなく、伴走者としての支援や、自己決定を促すためにそっと背中を押すことを基本にしていく意味を込めて「裏方」という理解を私はしています。そして、この裏方である私たちの仕事を考える時に、自分のポジショニングを「風」という比喩で捉えていると、とても分かりやすいなと感じています。
【風は見えない】
裏方であるソーシャルワーカーは、基本的に様々な社会資源をクライアントのニーズと一緒に繋ぐ役割をします。表で見えるのは、クライアントと支援者で良いのです。ソーシャルワーカーが他の支援者よりも目立ちすぎると、今度はソーシャルワーカーが全てを操ったり、過度に依存される状況を作り、結果的に自己決定を阻害してしまいます。目に見えない風という表現に、ソーシャルワーカーの立ち位置が見えるような気がしています。
【心地よく吹き抜ける風になる】
心地よい風は、適度な温度や湿度、香り、音を連れてきます。そして、留まらずに吹き抜けてこそ、よどまずに過ごせます。風通しの良い環境は、部屋も組織も人間関係も同じだと考えます。
【強すぎる風は人を傷付ける】
暴風や台風と同じように、強すぎる風は、人に恐怖を与えます。ソーシャルワーカーに例えれば、過度な関りはクライアントの自己決定を阻害し、支配してしまいます。支援者側が良かれと思った行動や自身の正義感は、果たして目の前にいるクライアントに合っているのかを俯瞰して考えていく必要があります。クライアントや支援者チームにとって心地の良い風になっているか、常に点検していく事が大切だと思っています。
このように「風」をモチーフにソーシャルワーカーのポジショニングを解説してみました。私も先輩から教わった時にはここまで理解していませんでしたが、私自身が新入職のソーシャルワーカーを教えるようになってから、ソーシャルワーカーのポジショニングについて考えるきっかけになる風の例え話は、新人にとって理解がし易く、今の私も扱いやすい内容になっています。
風になぞらえて、ソーシャルワーカーが及ぼす影響と役割、使い方を間違えると傷つけてしまう危うさを同時に感じながら、風のように目に見えない裏方でも、心地よい風は他に代えがたい大切な存在だと感じています。これからもこのスタンスを私は大切にしていきたいなと思います。