自分の気付きと振り返り(91)「肉声に込める思いは薄れない」
日頃の仕事での気付きや、本やメディアなどの言葉で自分の心に留まったもの、自分の振り返りの言葉などを取り上げて、備忘録的に書き留めます。
今回の言葉は「肉声に込める思いは薄れない」というものです。

この言葉は、声優の林原めぐみさんの書籍にあった一言です。林原さんの代表的な活動の1つがアニメーション作品に声を当てる事ですが、その他にもナレーション、舞台、ラジオのパーソナリティなど、幅広く活躍している声優さんの一人です。
様々な作品で林原さんの声を聴き、そのお芝居や考え方、役作りをする上で人を理解する洞察力に引き込まれ、職人技を感じてきましたが、昨今声優業界では、AIによる声の模倣技術と、それを利用した二次創作作品による権利侵害が問題視されています。
声優の声を学習したAI音声が、本人の許諾なく使われる事例が国内外で増えています。これらのニュースに触れ、他産業でも同じことが言われていますが「AIに仕事が奪われる」という流れが声優業界にも表れているのだなと悲しくなったのを覚えています。
私は以前から「職人」や「職人技」がとても素敵だと感じています。声優という職業は、まさしく感情表現のプロで職人だと思っています。そして、私の仕事である「対人援助職」も職人技を提供する事が出来る職業の1つだと私は思っています。声優と対人援助職の共通点を挙げるなら、私は「言葉と態度で思いを繋ぐ」という事だと思います。
対人援助職の「対話の力」や「人を傷つけないコミュニケーション」や「思いを引き出す力」は、面接の基礎であり欠かせない技術の1つですが、昨今の対話型AIの進化では、コミュニケーションそのものが人を介さなくても十分賄える状況になりつつあります。既に対人援助職の一部分は、前段で話題にしたように「AIに仕事が奪われる」という状況に至っています。
これらの技術は今後も発展していくと思いますし、否定する気持ちはありません。しかし、私自身の価値観として、AIを代表とする「人が介在しないサービス」が今後増え行く中において、「それでも人間にしか出来ない対応をしたい」と常々思ってきました。そのような思いのなか、林原さんが書籍において、このような言葉も表現してくれていました。
「声は目に見えない、心も目に見えない。AIが進歩して言葉を表現しても、肉声に込める思いの力を信じています。」
人を引き込む力や感情を揺さぶる思いの届け方など、人間の力強さを改めて感じた言葉でした。だからこそ私も、人に向き合う仕事を担う1人として「肉声に込める思いは薄れない」という言葉を胸に、AIではクライアントに届かない状況に対して、言葉と態度で思いを繋ぐように仕事をしていきたいと振り返りました。