私の失敗談(Part1)~ソーシャルワーカーの現場で体験したこと(1-2)~
皆様こんにちは。前回に引き続き今回は、「私の失敗談」をもとに「振り返り」を書いていきたいと思います。失敗談のケースに関しては前回のブログでご紹介しています。よろしければご確認下さい。なお、失敗談の概要は下記の通りです。
【失敗談:私が良かれと思って勝手に相談者の先回りをした事で、結果的に相談者と患者さんの気持ちを置き去りにしてしまったケース】
それでは、さっそく振り返りをしていきましょう。
<このケースの整理と振り返りについて>
① 「ワーカーとして今やるべきこと」が「私の心配」を解消するための行動になってしまっていた
依頼を受けて張り切ってしまった私は、本人家族が退院後にも安全に暮らせるようにと、施設の提案を前提に事を進めてしまいました。
これは、入院の期限があるという「入院期間の制限」と、患者さんがどのように回復してくれるか分からないという「回復の見込み」と、施設入所には時間がかかるので早くに見つけてもらわないといけないという「施設入所のタイミング」に関わる「私の心配」が、自分を焦らせてしまった要因だと思っています。これらの心配は、相談者も「当然心配に思っているはず」という思い込みがあったのです。
② 「相談者の考えるスピード」に合わせる事が出来ていなかった
相談者はそれぞれ、心配だと思い至る範囲や、次はどう動くべきかという予測や、大切にしていきたい優先順位など、それぞれの「相談者の考えるスピード」があります。その時の私は、そのスピードを一緒に合わせることが出来なかった為に、相談者を置き去りにしてしまいました。
③ 相談者の発した言葉を「言葉通り」に受け取ってしまい、相談事を決めつけてしまった
当初長男は、「手術をしてどこまで足が回復して、前のように動けるか分からない」「自宅で暮らすのは難しいかもしれない」と担当看護師に不安を伝えていました。この言葉から私は「自宅ではなく施設を探すことを求められている」とだけ解釈したのが、相談者を置き去りにしてしまったもう1つのポイントでした。
相談者が発言した「手術をしてどこまで足が回復して、前のように動けるか分からない」という言葉は、果たしでどのような「感情」で表現されたものだったのか、面接で知る必要がありました。
面接を用いて相談者と向き合い、その感情に触れることが出来れば、例えば「前のようにならなくても仕方がない」という考えが今は強いのか、「前のように元気な状態に治って欲しい」という願いが込められているのか、相談者の感情を吟味できたのだと思います。
④ 相談者・入院患者さんを1つの「ケース」として扱い、「個別化」することが出来なかった
私は仕事上、このような近しいケースを仕事柄多く対応していきます。このため、「慣れ」が生まれてしまい、「今までの経験から予想される最終的な折り合いの付け所」を私が勝手に見つけてしまうことがあります。これが大きな落とし穴になってしまいます。
相談者や患者さん本人にとっては、当たり前ではありますが、誰しも今が「初めて陥っている状況」であるはずなのに、私が見えてしまっている所は、すでに「今まで経験した状況」ですから、それが意識的に理解できないと、あっという間に相談者を置き去りに話を進めてしまいます。
大切な「今起こっているあなたの状況」を「個別化」した事象としてソーシャルワーカーが捉えることが出来ない限り、いつまでも相談者や患者さんは本音を言ってはくれません。
以上が、このケースで私が体験した「失敗談」をもとに振り返りをした内容です。今考えると「焦ってしまい自分を俯瞰出来ていなかった」と捉えることが出来ますが、その当時の私は、反省と後悔でいっぱいでした。
今このように私自身が文章化して言語化する事で、次にこの失敗を生かしてしっかりクライアントと向き合い、私の言葉を少しでも伝えることが出来るかなと思います。
今後も「私の失敗談」から振り返りをしてみたいと思います。