自分の気付きと振り返り(115)「人の仕事は唯一無二」
日頃の仕事での気付きや、本やメディアなどの言葉で自分の心に留まったもの、自分の振り返りの言葉などを取り上げて、備忘録的に書き留めます。
今回の言葉は「人の仕事は唯一無二」というものです。


様々な領域でAIが活用され、利用することが身近となり一般的になってきました。様々な仕事において、既にAIの利用が前提で仕事を進めている所や、人材採用においてもAI利用がどの程度出来るかを問われている所があります。福祉業界では、リアルタイムでバイタルサインなどのモニタリング機材が広がり、身近な業務としては、会議録や日常記録などにAI要約や議事録作成を指示して業務効率化をしていく所から少しずつAIの活躍の場が広がっています。
さて、そんなAIの発展と進歩から、「人間の仕事が代替される」と言われてきておりますが、私の仕事の領域であるソーシャルワークは、決してAIに代替されると思っておりません。何故なら、対象者である利用者は、自分から辛さや悩みをアウトプットできる方ばかりではなく、かつ発する言葉の意味と裏腹な感情を抱いていることが多くあるのが現状だからです。
そこには人間ならではのノンバーバルコミュニケーションが発生しています。また、支援者側から様々な角度やタイミングでもって「クライエントに出会いに行く・ひっかかりに行く」という行動をしています。そこでは、「空気を読む」「察する」という人間ならではの「五感」を使った対応も当然あり、中には「クライエントが無言のまま居る」という反応もあります。そこには、ちゃんとクライエントが示している意味と表現したいことが詰まっていると考えるのが、ソーシャルワーカーだと考えます。
社会的な動物である人間同士のコミュニケーションは、人間としての五感と感情のセンサーを互いに駆使して互いの存在を認めていきます。だからこそ「クライエントの目の前に一緒に居る」ということでしかクライエントとやり取りが出来ない部分が多く存在します。そこにAIのみで対応していける状況になるには、AI利用ができる方とそうではない方の格差も生まれるので、まだ難いと私は考えています。こういう意味でも、人間の仕事の意味や、醍醐味を私は感じています。
私たち対人援助職の一番の目的は「クライエントに不利益を渡さない」ということです。時にAIは相談事に対して相談者を否定しないように設定した言葉を返すため、相談者自身の認知の歪みについては触れることがあまりなく、結果的に相談事を暴走させてしまうような事件も出てきました。自身が信じたいものを信じたいように強化する言葉が都合よく来るため、心地よくなってしまう状況が生まれます。これは「妄信」になるのだと思います。
仮にソーシャルワークの場面でクライエントから支援者とのやりとりにおいて、「あなたの言うことなら大丈夫」と妄信させてしまうような場合、それは自己決定の機会を奪うことであり、自立支援になりません。バイスティックの7原則に基づきクライエントとの対応を適正な距離感と関係性で向き合う必要があります。このような自己覚知や仕事としてクライアントと向き合っている自分をもう一人の自分が俯瞰している状況をつくり育てることも、対人援助職ならではの「唯一無二」のスキルなのだと思います。
このように言語化してみると、人を相手にする仕事はすべからく、対応する方の関わり方や個性や考える癖なども相まって「唯一無二」なんだと思います。そこに「その人ならでは」の個性がどんな所にも醸し出されるのだと思っています。
そう考えると、「人の仕事は唯一無二」であり、それが人と人を結びつける温かさであって欲しいと振り返りました。