「生き辛さを支える」ソーシャルワーカーの相談室

自分の気付きと振り返り(124)「好奇心をかき立てる問い」

 
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現在は医療機関で医療ソーシャルワーカーとして10年以上働いていおります。相談援助職の国家資格である「社会福祉士」の資格を持ち、介護保険制度のプロである「介護支援専門員」の資格も生かし、医療と福祉の両面で、生活すること、生きること、暮らすことのお手伝いを行っています。 中々人に言い辛い「お金にまつわること」を始めとすることや「社会保障制度」の活用の仕方や、「介護サービスのこと」「病院の選び方」に関わるアドバイスが可能です。 また「医師・看護師とのコミュニケーションの取り方」で中々自分の言いたいことが伝わらない一方通行な言われ方・やり取りをした経験はありませんか?医療職種の考え方・言葉の中に何が含まれているのか、紐解くお手伝いも得意です。 様々な公的制度や対人コミュニケーションを円滑にするポイントを探し、暮らしのお手伝いになれる「相談員」としてご活用ください。 また、気軽に趣味の投稿も備忘録として増やしていきます。

日頃の仕事での気付きや、本やメディアなどの言葉で自分の心に留まったもの、自分の振り返りの言葉などを取り上げて、備忘録的に書き留めます。

今回の言葉は「好奇心をかき立てる問い」というものです。

これは前回から読んでいる『冒険する組織のつくりかた』という本の一節です。この本の著者である安斎勇樹さんの視点を取り上げて、自分の中に落とし込めるように言語化し、まとめていきたいと思います。

軍事的な世界観の組織(兵力を率いて敵国にいかに勝利するか)から、冒険的な世界観の組織(不確実な世界で新しい価値を探求する)へ進むための視点の一つに「好奇心をかき立てる問い」というものがあります。この問いがなぜ必要なのかをまとめておきます。

軍事的な世界観では、指揮官からの「指令」として、目標やノルマに沿った動きをすることが当たり前の状況です。この指令がなぜ現代で批判されているかというと、軍事的世界観の根底に「人間を道具として扱う思考」があるからです。指令をうけた人間は行動の最適化が期待され評価されるプロセスが、まさしく軍事的な世界観です。

一方で冒険的な世界観では、メンバーに向けて「つい答えたくなる問い」を投げかけ、メンバーの内発的動機付けを高めていくことを進めます。指令を受けてただ道具として業務を遂行するのではありません。メンバーの個性を発揮できる「余白・遊び」をあらかじめ想定します。目的に沿った行動を縛るのではなく、あえて思考や行動を分散させていきます。それぞれのメンバーが、そこで得られた知見から、対象や状況を観察・洞察して、目標を絶えず修正していくプロセスです。

冒険的な世界観へ進める第一歩は、既存の目標を「好奇心をかき立てる問い」へ変換することです。この変化で組織の目標は、「達成すべきノルマ」や「行動を縛り上げる指令」ではなく、「個人の内発的動機付けの火種」に変化していきます。

では、自分の所属組織である医療機関にあてはめ、具体例を検討してみます。

1、「病床稼働率・新規入院獲得」に関する変換

数値ノルマとして押し付けるのではなく、病棟スタッフが「なぜうちの病棟を選んでもらえないのか」「どうすれば選びたくなるか」を一緒に考える問いに変換します。

【従来の目標】

・前方連携を強化し、基幹病院やクリニックや福祉事業所からの紹介入院を月〇件獲得する

・病床稼働率〇%以上を維持する

【好奇心をかき立てる「問い」への変換】

・基幹病院、開業医やケアマネジャーが『何かあったら、迷わず〇〇さんに相談したい』と思える『名物支援』や『推しポイント』は何だろう?

・病棟看護師やリハビリ職が『私たちのこのケア/リハビリ、もっと多くの人に受けてほしい!』と誇りを持って外に自慢したくなる取り組みは何だろう?

【組織・他職種を巻き込む一手】

・病院の「隠れた強み」を看護師やパラメディカルからヒアリングをする。

・例えば、「〇〇看護師の褥瘡ケアの工夫、外のケアマネに紹介したら大反響でしたよ!」とフィードバックすることで、病棟スタッフに「自分たちのケアが選ばれている」という主体性と誇りを生み出します。

2、「退院支援の数・在院日数短縮」に関する変換

「早く退院させろ」という指示は、現場に「患者の追い出し」という倫理的葛藤とストレスを生みます。「病棟と自宅・地域を繋ぐ冒険」としての問いに再構築します。

【従来の目標】

・平均在院日数を〇日短縮し、年間〇件以上の退院支援加算を取得する。

・退院困難ケースの滞留を減らす

【好奇心をかき立てる「問い」への変換】

・『家には絶対帰れない』と諦めかけている患者・家族の背中を、病棟チーム全体でそっと押せる『小さな一工夫(実験)』は何だろう?

・退院支援のゴールを『退院日』ではなく『退院して1ヶ月後にその人が笑っていること』に置いたとき、病棟の中で今から始められる準備は何だろう?

【組織・他職種を巻き込む一手】

・退院支援カンファレンスを「リスクチェックの場(退院できない理由探し)」から、「患者のやりたいことを叶えるアイデア出し(どうすれば帰れるか)」に問いを変えます。

・例えば、「病棟看護師が見た患者の意欲」や「リハビリが見た可能性」を引き出し、全員で「帰すための実験」を仕掛けるチームへ変革します。

3、「相談室・病棟の閉塞感解消と組織活用」に関する変換

MSWが「病棟と地域の板挟み」になるのを防ぎ、組織の意思決定や風土に影響を与えるための問いです。

【従来の目標】

・入退院調整の進捗を速やかに管理責任者へ報告し、入退院させていることを可視化させる。

【好奇心をかき立てる「問い」への変換】

・単なる『件数の報告』を超えて、管理者、経営者が『うちの病院のチーム力(ケア・退院支援)はすごい!もっと現場を支援しよう』と思わず身乗り出すような『エピソード(患者の変化・現場の工夫)』を、どう共有できるだろう?

・入退院がスムーズにいった(あるいは難航した)裏にある『病棟スタッフの隠れたプレー』や『地域制度の課題』を可視化し、次の病院の動きに活かすにはどう伝えるのが一番面白いだろう?

【組織・他職種を巻き込む一手】

・病棟スタッフの『ヒロイン/ヒーローインタビュー付き報告』をつくる。

報告書やカンファレンス後に、「〇〇看護師のこの声かけで患者さんの心が動いた」「リハビリの〇〇さんの発想で退院が1週間早まった」といったエピソードを添えて管理者に報告します。

・病棟へのフィードバックで閉塞感を打破。

管理者へ報告した結果(例:「院長が病棟の関わりをすごく褒めていたよ」「稼働率維持で病棟の設備投資が通りそう」など)を病棟スタッフに還元。

「報告すること」が病棟全体の評価や環境改善に直結することを実感してもらい、「報告のための報告」感を失くします。

MSWが創る部門や組織を「巻き込む」仕掛け作りは、現場から手掛けられそうな部分もあるのではないかと気づかされました。満たさなければいけない組織の数値を追い続けるだけではなく、数値の先にクライアントが居るのだと改めて立ち返るきっかけが必要です。今後も「入退院数」が「私たちの医療・ケアを届ける挑戦」に変換するしかけを作っていきたいと思います。これらの視点での行動は、MSWによる組織に対してのソーシャルアクションであり、MSWは「組織と現場をワクワクさせるファシリテーター」にもなれるのだと感じました。

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現在は医療機関で医療ソーシャルワーカーとして10年以上働いていおります。相談援助職の国家資格である「社会福祉士」の資格を持ち、介護保険制度のプロである「介護支援専門員」の資格も生かし、医療と福祉の両面で、生活すること、生きること、暮らすことのお手伝いを行っています。 中々人に言い辛い「お金にまつわること」を始めとすることや「社会保障制度」の活用の仕方や、「介護サービスのこと」「病院の選び方」に関わるアドバイスが可能です。 また「医師・看護師とのコミュニケーションの取り方」で中々自分の言いたいことが伝わらない一方通行な言われ方・やり取りをした経験はありませんか?医療職種の考え方・言葉の中に何が含まれているのか、紐解くお手伝いも得意です。 様々な公的制度や対人コミュニケーションを円滑にするポイントを探し、暮らしのお手伝いになれる「相談員」としてご活用ください。 また、気軽に趣味の投稿も備忘録として増やしていきます。

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