自分の気付きと振り返り(125)「個性を活かしあう仲間」
日頃の仕事での気付きや、本やメディアなどの言葉で自分の心に留まったもの、自分の振り返りの言葉などを取り上げて、備忘録的に書き留めます。
今回の言葉は「個性を活かしあう仲間」というものです。

これは前回から読んでいる『冒険する組織のつくりかた』という本の一節です。この本の著者である安斎勇樹さんの視点を取り上げて、自分の中に落とし込めるように言語化し、まとめていきたいと思います。
【戦士だけのパーティーだとゲーム攻略は難しい】
組織は目標を共有する「チーム」の集合体によって成り立っています。私たちがチームを形成するのは協力をしあう必要があるからです。軍事的世界観と冒険的世界観では、協力の目的が違います。
軍事的世界観におけるチームは、目標達成のための「機能的な分業部隊」と言えます。各チームは同一職種のメンバーで構成され、その中でも優秀なプレイヤーがリーダーやマネージャーを担います。チームには数値目標があり、各メンバーが能力に応じて仕事が割り当てられていきます。
仕事ではこのチームの組み方に違和感はありません。多くの組織でこのような構成要員になることがほどんとです。これは達成すべき目標が明確で、分業が可能な場合にはその方が効果的です。しかし、RPGに例えると、このチームは、同一職種のみで構成されたパーティーであり、ゲームを進めるうえでバランスはよくありません。
不確実性の高い環境下では、物事を計画的に進められないケースの方が多いです。不確実な顧客ニーズや環境変化を敏感に察知し、そこで得られた洞察をもとにスピーディーに対応していくには、単一職種のチームより、多様な専門性や個性を持った混成チームの方が適しているといえます。これは、「任務別の小隊」から「個性を活かす共同体」への移行です。これにより、一人では生み出せない価値を協力して探求することに繋がります。
【個性が違うからこそ、人は「道具」ではなく「仲間」になる】
冒険的世界観では、個性が違うからこそ、人は「道具」ではなく「仲間」になります。軍事的世界観のチームの作り方から、冒険的世界観のチーム作りへ価値観をアップデートするときのポイントの1つは「お互いの個性を活かしあう」ことです。
同一職種のチームの場合、基本的にチームが育つ方向性は「出来る人の真似」をしていくことになります。それは各人の個性は度外視していることに繋がります。
異なる職種の集まる冒険的世界観のチームは、それぞれの専門性や美学、倫理観や優先事項、メンバーのこだわりの違いを理解しつつ、一人では生み出せない価値を探求していくことが重要です。
また、軍事的世界観のチームの作り方から、冒険的世界観のチーム作りへ価値観をアップデートするときのポイント2つ目は、チームを「精神的な共同体」として捉えることです。
軍事的世界観においては、職種や専門性に応じてチームを機械的に分けていました。このような環境下では、必ずしもメンバー間の精神的な繋がりは必要ありません。例えば、「私が営業部門に居る理由」は「私が営業職だから」で十分なのです。
冒険的世界観のチームでは、職種や専門性、価値観やこだわりなど、個性が発揮されるメンバーが1つに集う時は、お互いが持っている背景や感情を理解して精神的に繋がり合っている必要があります。それこそがメンバーを「仲間」として見ることになります。
1人1人のメンバーを、単なる「割り当てられた目標を達成するための道具」として見がちな軍事的世界観から脱するために、人材の表層的なスキル面だけではなく、「その人が何者なのか」「どんな背景を持っているか」「なぜここで働いているか」なども含めて相手を理解しようとする姿勢が重要です。
【ドライな組織ほど致命的な問題を見落とす】
なぜ今、軍事的世界観におけるチーム作りが、リスクと捉えられるかを別な角度で考えます。リーダーシップを専門とする経営学者であるロナウド・ハイフェッツは、組織問題には「技術的課題」と「適応課題」の2種類があると述べています。軍事的な世界観において構成されたチームでは、ハイフェッツの「適応課題」が解決しにくくなります。順を追ってまとめます。
「技術的課題」とは、既にある知識や技術によって解決が出来るトラブルを言います。何か困ったこと起きても、しかるべきやり方を知っていればすぐに解決できるものです。
一方で「適応課題」は、当事者が考え方や価値観、関係性を変えなければ解決しないような問題のことです。この解決のためには、ある種の自己変容が必要になるため、適切な技術や知識があれば自分を変えることがなくても解決できる技術的課題とは大きく違いがあります。
軍事的世界観のチームでは、チーム内の精神的な関係性が希薄なため、お互いを道具のように機能的に決めつけていくバイアスがチーム各所で生まれます。例えば、「うちのメンバーは消極的で言われたことしかしない」「管理職たちは現場を何も知らない」などです。
変化が大きく不確実な社会の中で、課題を解決していく冒険的世界観のチームでは、まずチーム内で適応課題の存在に気づくことが第一です。職場で働いている人たちが何を考えているのか、どんな価値観やこだわりを持っているのか、そしてお互いがどんな葛藤を抱えているのかが「見えなくなっている状態」が、軍事的世界観で構成されたチームです。
多様性のあるチーム構成であればあるほど、適応課題は増え続けます。チームが抱える問題が適応課題であるのに技術的課題と誤認すれば、対処の仕方を見誤り、最終的にチームは形骸化してしまいます。
適応課題を解決していくためには、チーム・組織内のメンバーに対する個々の理解が必要不可欠です。言わなくても分かるという考え方や、阿吽の呼吸は通用しないと考えます。出来る限り対話を重ねながら、お互いを理解しようとする努力を、メンバー間で意識し続ける風土の醸成がカギになります。
今後も「冒険的世界観」への道のりをまとめていきます。